ぬか漬け このすばらしい食べ物

暑い日が続いていますが、今日の昼ご飯も、朝炊いた残りの冷や飯とぬか漬けを中心に、おいしく頂きました。

食べ物の効用について、これにはビタミン○○が含まれているとか、この食べ物は何の病気を防ぐとか、頭の知識だけで色々語られています。私も東京で一人暮らしをしていたときは、野菜の摂取が少ないからファイバー飲料を飲んだりしていました。
しかし、動物は本来、自分の体調や季節の中で、必要なものは本能的に摂取しています。人間は頭で考えれば考えるほど、いつ何を食べればいいのかわからなくなってしまい、季節に関係なく、スーパーに並んだ無季節の食べ物を食べています。

私は、食べ物をなるべく自給していく中で、その季節にしかないものを食べているわけですが、夏場に食欲がなくなる中、季節野菜であるキュウリやなすのぬか漬けほど、飽きずにおいしいものはないと感じるようになりました。

夏場の暑いときには、炊きたてのご飯よりも冷や飯の方が食が進みます。そのおかずとして、ぬか漬けは特に冷や飯と相性がいいのです。今では、ぬか床を常備している家庭も少なくなっています。毎日かき混ぜなくてはならないぬか床の存在は、家庭料理の崩壊と共に、消えつつあるものでしょう。

しかし、夏場に野菜をおいしく食べる方法として、ぬか漬け以上のものがあるでしょうか。また、美味しいということは、体が求めているのだということが忘れられているのではないでしょうか。

詳しく調べてはいませんが、日本人が白米を食べるようになったのは江戸時代の中期からだということです。ぬか漬けに必要な米ぬかは、白米を食べるようにならなければ存在しないものです。米ぬかには、ビタミンB1という成分が含まれていますが、白米を食べるようになった江戸の庶民の間に、脚気が流行り、その原因がビタミンB1不足であることがわからなかった当時の人々は、この病気を「江戸わずらい」と呼んでいたそうです。

ということは、ぬか漬けが始まったのも江戸時代以降であるということが推測されます。

伝統食としては、それほど歴史のないぬか漬けが、現在では既に忘れ去られようとしているのは大変残念なことです。繰り返しますが、うまいということは、体が必要であるということです。温暖化で暑さが厳しくなっている現代において、それを乗り切る体を作るためにも、ぬか漬けのうまさと効用を忘れたくないものです。

かくいう私も、相当ものぐさな性格で、面倒くさいことは嫌いなのですが、うまいぬか漬け食いたさに、日々ぬか床の管理は怠りません。ぬか床をダメにして、この夏ぬか漬けが食べられないという恐怖の状況を思うと、毎日せっせとぬか床をかき混ぜなければならないのです。便利で簡単に手に入り、なおかつ健康的な食生活など、一般的にはありえないということです。

ぬか漬けの効用 KOMEKOMEclub より

●ぬか漬けは日本が生んだ食の傑作

 ぬか漬けが漬物の王者といわれるのは、ぬか漬けの下地になるぬか床・米ぬかが、たんぱく質、脂質、繊維質、カルシウム、リン、鉄、ビタミンA(カロチン)、B1、B2、ナイアシンなどを豊富に含み、あらゆる食材の中でもトップクラスの栄養素を持っているからです。栄養素がぎっしり詰まった宝庫といっても過言ではありません。米ぬかにはビタミンCがありませんが、ぬか漬けにする野菜にビタミンCの豊富なものを選べば補うことができます。

●こんなにあるぬか漬けの効用

脚気の妙薬――ぬかに含まれるビタミンB1の効能です。

◇糖尿病の予防薬――糖尿病は、すい臓から分泌されるホルモン(インスリン)の不足やエネルギーの過剰摂取が主要な原因とされています。ぬか漬けの材料になるほとんどの野菜に含まれている食物繊維には、インスリンの分泌を促す作用があります。そして、この食物繊維は、満腹感をともないエネルギーの過剰摂取を防ぐ働きをします。糖尿病患者に特有のビタミンB郡の吸収力低下症状の補強策にも、ビタミンB郡をたっぷり含むぬか漬けは最適な食品なのです。

脳卒中を予防する――ぬか漬けの食物繊維ならびにカルシウムは、血管の組織を強化する働きを示すとともに老化を防ぎます。さらにぬか床に含まれるビタミンB郡、油分に含まれるビタミンEは、過剰のコレステロールを減少させるので、動脈硬化を予防します。

◇大腸ガンや胃ガンを予防する――ぬか漬けに使われる野菜の食物繊維は、胃腸内の消化を助け、便秘症を治し、ひいては大腸ガンを予防する働きがあります。そして、ビタミンA(カロチン)の豊富な緑黄色野菜を漬け込んで常食すれば、胃ガンならびに肝臓ガンなどの予防にも効果を発揮してくれます。

◇胆石を防ぐ――コレステロール過多の食事を長期間続けると、胆石の危険性が増えていきます。しかし、これも良質な食物繊維をきちんと取ればかなりの部分、解決します。

◇胃腸を強化する――食物繊維を豊富に含む、生では硬い野菜もぬか漬けにすると、適度の歯ごたえで美味しく食べることができます。食物繊維は咀嚼(そしゃく)の回数を増やし、唾液や胃腸液の分泌を促がし、胃腸の働きを活発にします。さらにぬか漬けに含まれる乳酸を始めとする有機酸類は、腸内の酸度を適度に保つので、いわゆる整腸作用を自然な形で促がします。

◇肥満を防止する――ぬか漬けの豊富なビタミンB2は、体の代謝機能を活発化するため、脂肪の沈着作用を防ぎます。また、有機酸類が、エネルギー代謝を促がすので、余剰脂肪をすばやくエネルギーに変え、ひいては肥満を予防するのです。

◇歯や骨を丈夫にする――ぬか床に含まれるカルシウム、ぬか漬け野菜に含まれる豊富なカルシウムが歯や骨を丈夫にしてくれます。卵殻やカルシウムの粉末などをぬか床に混入すれば、さらにカルシウム補給食品としての実力はアップすることでしょう。