ジャレド・ダイアモンド氏に関する情報と雑感

昨年12月末に発売されたジャレド・ダイアモンド氏の「文明崩壊」は、本ブログで何度も紹介してきました。この上下巻2冊の本はすでに読了し、その内容には今でも感嘆しています。また、私の薦めで購入した知人も現在読書中ですが、彼と会うたびにこの本の内容のすごさをいまだに語り合っているところです。実は今日も彼とその話をしていたのですが、家に帰ってきて新聞を広げると驚くことがありました。

それは発売になったばかりの文藝春秋の新聞広告に、「江戸の知恵が文明崩壊を救う」養老孟司/J・ダイアモンド というのを見つけたからです。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/index.htm

まさかジャレド氏が日本の雑誌に登場するとは思っていなかったので驚きでした。これは明日速攻で買いに行きます。

音楽好きの若い頃は、心酔していたミュージシャンの情報(インタビュー記事やラジオ番組の出演等)に興奮して注目していたものです。特に世の中にものをいう(メッセージを発する)ミュージシャンの言葉を追いかけていたわけですが、自ら学問や思想を積み上げていくと、音楽製造業者である彼らの思想的ベースというものが大したことはないと分かってしまい、興味を失ってしまいました。まあ、若くて何か(真実)を求めずにいられない青年が、ミュージシャンにそれを求めたこと自体間違いであったと思います。

ジャレド氏は、私も、また私の信頼している年配の(父親と同年代)知人も、「現在の地球上で第一線級の知識人である」と、共に認め合っている存在です。ですから、氏の著作はもちろんのこと、その著作にいたる参考(引用)文献までも注目し、読書の連鎖へとつながっているのが現状です。

ジャレド氏の「文明崩壊」の中で、特に注目する部分として、以前このブログで紹介したのが、「なぜ日本社会は崩壊しなかったのか」という部分です。http://d.hatena.ne.jp/sakunou/20060202

日本は超人口過密の島国でありながら、現在でも国土の3分の2は森林に覆われています。しかし、これは世界(もしくは人類史上)の標準から考えると、極めて異例なことであります。それは単に、気候と降雨に恵まれていただけではなく、かつて何度か訪れた「森林の略奪による危機」を、人為的に乗り越えてきた結果であります。

ジャレド氏はその中でも江戸時代の例を出して論じていたわけですが、驚愕すべきは、

  1. 江戸幕府が森林危機に対して、植林技術の開発・人口抑制政策・軍馬農耕家畜の抑制政策などを発動して森林を、強いては国土の環境、将来への国富・環境・財産を守るという「エコロジー政策」を実践したということ
  2. そのことを我々日本人が全くといっていいほど知らされていないということ
  3. これらの事実を外国人によって知らされた

ということであります。これを読んでいる日本人の皆さん、どのように感じますか。

ジャレド氏のこの日本について論じた部分には、参考文献があります。それが次の本です。

日本人はどのように森をつくってきたのか

日本人はどのように森をつくってきたのか

この本も外国の方が書いています。この本は先日図書館で借りて、まず先に知人が読みました。彼はいたく感銘を受けてこの本を「ぜひ読んで欲しい」と私に託しました。副島隆彦氏が常日頃から「日本の学問は遅れている。日本に本当の学問はない」と言っていますが、日本の歴史や環境政策を外国の著書から学ぶということ自体、それは当たっていると痛感している次第です。

私もこれから、大したことのないくたびれた頭で、続く限り真実を追究していきます。若くて頭が柔軟な人たちは、さらに先へ進んで欲しいと思います。この「真実を知る」という深くて重い事実についてはいずれ書きます。