偽装をつくった背景は?

建築物の偽装問題でいまだ揺れている日本国内ですが、私の住む吉井町でも「建設残土しか埋めない」と申請した業者が偽装して「産業廃棄物」も埋めていたことが発覚し、大きな問題になっています。

今日はまた自然食品に関する新たな偽装問題が発覚し、報道されました。

東京都内の自然食品販売業者、多数の食品の産地や生産者を偽って販売 社名公表へ

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都内の自然食品販売業者が、多数の食品の産地や生産者を偽って販売していたことがFNNの取材で明らかになった。農水省は近く、JAS法違反で社名を公表する見通し。
今回、大がかりな食品産地偽装が明らかになったのは、自社の直営店を大手百貨店に出店する東京・練馬区の自然食品販売業者「中田物産」。
この業者は、無農薬と表示した雑穀や加工食品などを販売していたが、FNNの独自調査では、少なくとも10種類以上の食品が、実際には存在しない農場や個人農家の名前を生産者として表示し、販売していた。
この会社に以前勤務していた男性は、こうした偽装が長年行われていたと話している。
中田物産の元社員は「作業場所が2階なんですけど、消費期限を過ぎているようなものがある。それに新しくラベルを、発送した日からだいたい3カ月という形で、偽造したものを張って送ったりっていうことをしていた」と語った。
一方、この業者は2004年8月、表示が義務付けられている小麦が含まれているにもかかわらず、表示せずに販売し、当時3歳の子どもが呼吸困難や発しんなどアレルギー症状を起こしたとして、練馬区から指導を受けていた。
http://fnn.fujitv.co.jp/より

建築物では姉歯物件以外にも偽装が行われていることがささやかれていますが、食品の偽装に関しては、雪印の事件をはじめとしてこれまで何度も問題が発覚しており、今回の報道に関しても「またか」と感じる人が多いのではないでしょうか。

ある辞書で「偽装」を引くと、次のように書いてありました。

ぎそう【偽装】
ぎそう(ギサウ)【偽装】
―する
ほかのものとまぎらわしくして、敵の目をごまかす△こと(手段)。カムフラージュ。

「敵」という言葉が使われていることから、もともと軍事用語からきているのかなと思いますが、問題になっている状況から判断すると、「嘘をついている」ということになるでしょう。この「嘘」はどのように発生するのでしょうか。

青木雄二氏の漫画「ナニワ金融道」の話を思い出します。若くて有望であるけれども、資産も売り上げも少ない小さな運送会社の社長が、かつて世話になった人の借金の保証人になるための審査で金融業者の面接を受けた際、「どんなことがあっても僕は逃げません」と宣言しましたが、百戦錬磨の金融業者は「最初は皆そう言うが、追いつめられたら最後は皆逃げる」と喝破します。それでさらなる保証人が必要になり、結局若社長の妹と恋人を連帯保証人にして融資を実行したのですが、借り主本人がトンずらしてしまい、恋人がソープランドに売られていくというストーリーでした。

最初から嘘をついて(偽装をして)人をだまして商売(仕事)をしようとする人は少ないと思います。しかし、「さらに売り上げを伸ばすため」や「組織を維持するため」や「ユーザーの要望に応えるため」に、いつの時点からかまたはあるきっかけで、人は偽装に手を染めていくことになるのです。

<つづく>