「出版規制」という言論統制・思想弾圧

日本は中国や韓国ほど、言論が不自由ではありません。体制批判や政治家のスキャンダルなど、ある程度は自由に表現が許されてはいます。しかし、だからといってすべての表現が自由に行われているわけではないということを、どれだけの人がどれだけの実感として理解しているか、感じているかというと疑問に思わざるを得ません。

例えば、ちょっと前に出版された「嫌韓流」という本は、発売前から話題を呼び、アマゾンでは予約だけでベストセラーになっているという状況でしたが、この話題に対して、ネット以外の一般のマスコミでは全く触れられることがない、という異常な状況が発売後も続いていました。

この本は、書店での予約が不可能である中、アマゾンなどネット系の通販で予約が可能でしたが、同じネット系でも私がいつも利用しているe-honは予約ができませんでした。このe-honトーハンという大手の「取り次ぎ」という本の卸業者が始めたものです。出版の流通はこの取り次ぎが仕切っていた状況が長く続いており、皆さんも経験あると思いますが、ちょっと前までは、店頭にない本を予約しても時間がかかってなかなか手に入らなかったのです。いわば業界が殿様商売をしていたのだと思いますが、次々にネットで素早く本が購入出来るようになり、それに乗り遅れないようにe-honも始まったのだと思います。

しかし、各社の事情の中で、どこから指令が出るのか分かりませんが、取り扱える本とそうでない本が分かれているのが現状です。(アマゾンは比較的フリーな立場のようですが・・・)。たとえば、先日「小泉純一郎と日本の病理」という本が出版されました。

小泉純一郎と日本の病理 Koizumi's Zombie Politics (光文社ペーパーバックス)

小泉純一郎と日本の病理 Koizumi's Zombie Politics (光文社ペーパーバックス)

この本はe-honでは、「在庫あり」の表示で注文可能になっておりましたので、11/1の深夜に注文を出し、すぐに注文確認のメールを受け取っていました。11/1は平日ですので、普段なら翌日か翌々日に商品出荷の連絡が入るはずですが、連絡がきたのは11/4の夜の11時過ぎです。注文を出したのは実質10/31の夜中になりますから、丸4日かかっていることになります。そして、その連絡とは次のようなものでした。


17年11月4日 23:09
この度は、「e−hon」にご注文いただきまして、誠にありがとうございます。

恐れ入りますが、下記の商品につきまして出版社/メーカーに取り寄せの
手配を行いましたが、現在品切れのため、お取り扱いできませんでした。
つきましては、誠に勝手ながらご注文を取り消しさせていただきました。
お待ちいただいたにも関わらず、ご期待に添えず大変申し訳ございませんでした。

何卒、よろしくお願い申し上げます。
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対象明細 総数 1
注文日時:2005年11月1日03:30
書 名 :小泉純一郎と日本の病理 改革者か独裁者か
著 者 名:藤原肇/著
出 版 社:光文社
税込価格:1,000円
注文冊数:1冊

そして現在この本は、「注文出来ません」となっています。http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031607641&Action_id=121&Sza_id=HHこれはあきらかに、小泉サイドから発売禁止の指令が出たのだと思います。

このように、自粛なのか申し合わせなのか脅されたのか分かりませんが、業者によって売ることのできない本があるのだということです。ところが、それよりもさらに厳しい販売規制もあります。つまり、その本の存在がどこを探しても出てこない、つまり世の中から抹殺されてしまうというものです。中国では焚書という形で昔から、自分たちに都合の悪い歴史や事実は消し去ろうということが行われていますが、自由の国と思われているアメリカでも、それはどうも強烈に行われているようです。しかも、一見自由に報道されているように見せかけて、実は知らないうちに思想統制させられていた、ということが行われるのが、アメリカの怖さです。

副島隆彦の学問道場で紹介されていたチャールズ・レヴィンソンの『ウォッカ=コーラ』という本は、ネットで検索しても出てきません。ここの掲示板で、「アルルの男ヒロシ」さんが次のように書いています。

それは、チャールズ・レヴィンソンの『ウォッカ=コーラ』(日本工業新聞社産経新聞社)という上下巻の本。アマゾンでは検索にすら引っかからないけど、この本は「共産主義と資本主義が実は表面上対立しているけど、実は凄く経済上のつながりがある」という話を詳しくレポートした本。陰謀論の世界でいうところの、アメリカが資本主義で、共産主義ソビエトというのは違う、ワン・ワールド政府だ!!という主張を、ジャーナリズムでやるとこうなる、というような本。

いずれ、ぼやきで取り上げます。書いたのはフランス人です。グーグルなどで検索してもあまり引っかからなかったのは何故だろう。

オビには、地政学の倉前盛道氏が「フランス版悪の論理」なんていうちょっと時代を感じさせて、しかも内容とはあまり関係のないコメントをつけています。私は確か、ブックオフで一冊100円で買いました。

これは前回紹介して、本日発売になっている「共産中国はアメリカがつくった」と共通する内容で、ロックフェラーの世界戦略を暴くもののようですが、世界皇帝から睨まれれば、焚書になるのも当然かと。さて、この「ウォッカ=コーラ」。ある場所にあるのを発見したので、早いうちに読んでみたいと思います。何しろ、日本でもアメリカでも、言論・思想統制は未だに行われており、この本もいつなくなるかわかりませんから。