女系天皇と女性天皇の違いを理解する

昨日は、紀宮さまと東京都職員黒田慶樹さんの結婚式が行われました。また一昨日には、蘇我入鹿の邸宅があったとされる奈良県明日香村の甘樫丘(あまかしのおか)の東麓で、七世紀の建物群跡が見つかる、という報道もあり、天皇家を巡る話題に事欠かない日々です。

そして10月25日には、小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」において
継承順位の結論は出なかったが、有識者会議として「女性天皇」を容認。政府は11月末にも提出される最終報告書に基づき、皇室典範改正案を来年の通常国会に提出する方針。同改正案が成立すれば「男系男子」に限定していた皇位継承制度の抜本的な見直しとなり、皇室の在り方に大きな影響を与える。
という報道があり、これに対して「皇室典範改悪阻止」の集会が行われるなど、国民的議論になりつつあるようです。このことは、天皇制や神道という、日本人の根幹に関わる問題だと思うのですが、報道の上辺をみているだけだと、どうも問題の本質が分かりづらく、自分の意見や賛否を表明出来ない消化不良状態になっていました。

個人的には、神道天皇制というものについて、ようやく勉強を始めたところで、知り合いで神社本庁に勤めている方から送ってもらった「神道いろは」という本や、山本七平(イザヤベンダンサン)あたりを読み始めた程度です。

神道いろは―神社とまつりの基礎知識

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それでもマスコミやネットで、女性天皇に関する議論が高まっている様子を見ていると、その問題の本質は何か、というその要点を理解したいと思っていました。そんな折に、分かりやすくこの問題を解説した文章を、ネットで見つけることができたので、長い引用になりますが、掲載したいと思います。「女性天皇」と「女系天皇」の違いを理解することが、この問題の出発点であることが、ようやく分かりました。

Doronpaの独り言
http://ameblo.jp/doronpa01/

ここで女性天皇女系天皇の区別をつけておく必要があります。
まず女性天皇ですが、これは過去十代八人の天皇(女帝)が存在しています。しかし、推古天皇から江戸期の後桜町天皇までの女帝を含めて、百二十五代今上陛下までの歴代天皇は、全て男性天皇の血筋の方が即位されています。これを男系による皇統の継承と言います。つまり、皇室に連なる方であっても女性(大后、女王、内親王)だけの血筋で、天皇家につながらない夫君との間に生まれた方が天皇となった例は存在しないのです。

現在、この女性天皇女系天皇がごちゃまぜになってメディアでも報じられているため、女系天皇反対の立場を取る方たちが「女性の天皇」そのものを否定していると勘違いされていますが、女系天皇反対の立場を取られる方であっても、歴史的見地から「女性天皇(女帝)」反対を唱える方はあまりいないようです。

分かりやすく言えば、愛子内親王殿下が第127代天皇として即位した場合、これは女性天皇(女帝)となりますが、仮に愛子内親王殿下に民間からご夫君が選ばれた場合、その間に生まれたお子様は男子女子どちらであっても女系であり、もし第128代天皇としてそのお子様が即位された場合、これは女系天皇であり、神武天皇からの天皇家始まって以来、初めての女系天皇による即位となります。そのため、女系天皇が即位することになれば、世界最古の皇統を誇る天皇家の断絶とも言え、これは王朝交代ともいえる大事であるとして現在大論争が起きているのです。

確かに、現在天皇家などどうでも良いという若い人たちが増えているのも事実ですが、しかし天皇家とは言うなれば私たち日本人のルーツそのものであり、日本という国家の始まりから現在までの歴史そのものなのです。これに対して、どうでもいいという態度を取るのは、自らの存在を否定する行為ではないでしょうか?古いもの、伝統を大切にするという日本的価値観が存在するなら、ギネスブックにも載る世界最古の皇室を大切にする気持ちを持つことは自然で有りますし、また誇るべきことではないかと思うのです。

こうした中、個人的見解ではありますが『女性』天皇の即位自体は問題がないと思います。ただ、『女系』天皇の即位は現時点で男系の継続が可能な状況であるわけですから、男系の皇統を保ってきた伝統を理由無しに捨てる事はできないと思います。

ただ、ここで考えておく必要があるのは、古代と現在の社会情勢や天皇家の在り方は変化しており、全て古代からのまま残すことは出来ないということです。古代(特に8世紀まで)において、皇統での男系女系の問題は殆ど起こらなかったのではないかと私は考えています。それは古代では現在のような親子間(直系)相続ではなく、兄弟間相続が主流であり、これは天皇家でも同じで親から子への直系による皇統が制度として定められたのは明治以降です。そして、古代において天皇は后を迎えるに、殆どの場合皇室に連なる方を后としており、先の兄弟間相続と併せて必然的に男系が維持されるシステムであり、現在のような男系女系問題が出てくる素地が無かったのです。
また古代では事実上の一夫多妻制がとられており、いわゆる側室制度が存在していましたので、皇族の幅は大変広かったと言えます。そのため、現在のように皇族の幅が限られており、皇統の継承者(古代では大兄【おおえ】と呼び、現在の皇太子に近い存在ですが必ずしも直系が大兄になるわけではなく、また大兄になった方が必ず皇統を次いで天皇となったというわけでもありません。)、及びその候補者が数えるほどしかいなくなるということは殆どなかったのです。
このような古代の状況と、現在のように民間から皇室に入ることが当然のようになったり、側室制度が廃止されている状況では同列に扱うことは出来ず、確かに今の状況が続けばいずれ天皇家の存続が危ぶまれる事態になる可能性があることは事実です。

その中での解決策は大変限られていますが、例えば戦後に皇籍離脱をされた十一宮家のうち、現在でも家系が続いている(断絶の恐れがない)四宮家を復活させるという方法もあります。国民の声を無視して皇室は成り立たないと私は思いますので、この場合、旧宮家復活にどれだけ国民の支持が集まるかが問題となるでしょう。どうしても復活が難しいのなら、四宮家は皇族には入れない代わりに、家系の存続に政府が特別の配慮をするなどしてはどうかと思います。また、現在後継者のいない宮家などに養子として四宮家から入ってもらう、或いは、皇太子ご夫妻にこのまま男子が誕生しない場合、愛子内親王殿下のご夫君候補を四宮家から出してはどうかと思うのです。
これであれば、そのまま男系は維持できることになり、仮に愛子内親王殿下が第127代天皇となられても、四宮家からご夫君が選ばれれば、第127代天皇の皇子は男系となります。