「輸出戻し税」というものからネット情報の流通経路を追跡する その2

副島隆彦の学問道場に貼り付けてあった「輸出戻し税」についての情報は、そのソースをたどっていくと、日刊ゲンダイメールマガジンからの転載であることがわかりました。では、日刊ゲンダイは何を根拠にこの記事を書いたのでしょうか。本来なら日刊ゲンダイに電話して聞いてみるところですが、時間もなかったので、ネットで追跡してみました。

まず、この書き込みの中に関東学院法科大学院教授の湖東京至氏に試算してもらったという部分があります。また、それ以降の論調をみると、この教授の意向が反映されているように読めます。つまりこの教授が、「輸出戻し税はけしからんのではないか」と言っているようなのです。

もし、これだけの重要な問題で、けしからん事実が隠されていたとすれば、多くの方が取り上げて批判しているはずです。そこで「輸出戻し税」で検索をかけてみました。MSNの検索で、1244件がヒット。その中の最初の数十件を確認した限りでは、実際に輸出戻し税について、根拠をつけて批判をしているのは一つのサイトしかなく、それ以外は、関税の制度解説や「輸出」と「戻し税」の別々のキーワードのヒットによるものでした。

唯一批判をしているのは、全商連というサイトhttp://www.zenshoren.or.jp/の中の消費税の解説(というか批判)のページhttp://www.zenshoren.or.jp/zeikin/syouhi/050912/050912.htmであり、ここに関東学院法科大学院教授の湖東京至氏の解説が載っているわけです。これ以外に学者や評論家などが「輸出戻し税」について批判している文は見つかりませんでした。

大学の教授にも変なのは数多くいますから、このようにたった一人だけ批判しているというのは気をつけてみなければなりません。まして、この全商連というのは、民商民主商工会)の兄弟分のようなものです。HPを見ればそれはすぐにわかります。つまりこの団体は共産党系の組織であるということです。

私は共産党のやっていることがすべておかしいとは申しませんが、この「輸出戻し税」に関しては、消費税全体を攻撃するために、その中の一部の制度である輸出戻し税を、いい加減な学者の論理を根拠にして叩こうとしている「デマゴーグ」に思えてなりません。日刊ゲンダイメールマガジンも、いい加減なネタを安易に取り上げたのではないでしょうか。最後は「学者が言っている」と責任転嫁できますし。

この件に関しては、情報の追跡によって、「極めて疑わしい」状況が見えてきました。これをそのまま信じて、私の知識として発信することはできません。これについてはさらに、ジャンルとタイトルを変えて、実際の「輸出戻し税」の計算を披露し、その真偽を問うてみたいと思います。