私のPC履歴3 NEC・PC−9821CanBe 「ワープロを使う」

私が生まれて初めて「ワープロ」というものに触れたのは、今から23年ほど前だ。当時仕事をしていた電電公社(現NTT)の職場に確か「松」というような名前のワープロがあったのを記憶している。

その後、東京の社内学園に入学し、新聞部に入ることになった。そこで使っていたのが「一太郎だった」
ウィキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%A4%AA%E9%83%8E一太郎の詳しい説明が載っているが、年代からいって使っていたのはVer.1だったと思う。当時のPCにHDDなどは付いてない。5インチのFDスロットが2つあり、片方にプログラムの入ったFDを入れ、もう一方にはデータ保存用のFDを入れて使用していた。
変換キーを押すたびに、「ガチャコンガチャコン」とFD上の辞書をいちいち読みに行くというものだったが、縦書きで4段組くらいの立派な新聞を徹夜して作ったものだった。

私が電電公社に入社して最初に配属になったのは、電報配達の部署だった。その時新入社員の訓練でタイプライターを教わった。正確に早く打つために、指のポジションとブラインドタッチを教え込まれたのである。電報用のタイプライターは、今のPCとは日本語キーの配列が違っていた。打刻式のタイプライターには「変換」というものはないので、カタカナ入力をメインに教わったのだが、一緒に覚えたアルファベット配列はJIS規格であり、それが後のローマ字入力でのワープロ操作に役立つことになった。

その後私はNTTのコンピュータ部門に配属されたこともあり、PCを使う頻度は増していった。当時の職場では、ワープロ一太郎派とオアシス派に二分されていた。当然私は一太郎派であった。しかも電報部門の訓練と新聞部で鍛えた入力の早さはピカイチで、周りで私より早く入力できる社員はいなかった。

そして私が96年に購入したCanBeには、ワープロもプリインストールされていたのだが、なんと一太郎バージョンとWORDバージョンがあったのである。当然私は一太郎バージョンを購入した。使い慣れたワープロは様々な場面で活躍し、FAX機能とあわせて快適なPC環境を享受していたのである。

  • PC-9821Cb3/T model A 298,000円 一太郎6.3インストールモデル
  • PC-9821Cb3/T model B 298,000円 Microsoft Word 95インストールモデル

ついでにプリンタのことも述べておこう。私の記憶では、96年当時すでにインクジェットのカラープリンタが出回っていたと思う。しかし私は文書の印刷をメインに考えていたので、白黒のプリンタでよかった。インクジェットのインクは水に弱く、印字された文字を指でこすったりすると汚れてしまう欠点がある。だからどうしてもレーザープリンタが欲しかった。

そのころcanonの一番安いレーザープリンタが3万6千円くらいだったろうか。これを何とか安く買えないかと思っていた矢先、前橋にヤマダ電機のテックランドが新規オープンすることになった。そのオープン記念で多くの製品が値引きされていたのだが、ごった返す店内で値段を確認したところ、1万円近く安くなるということだったので速攻で買ってきたのだった。

こうして、当初目論んでいた計画が成就し、文書作成の環境が整ったのである。使い慣れた一太郎と、それをしっかりと印刷してくれるレーザープリンタ。それに会社時代に培った規格能力をフル活用し、活動の範囲を広げていったのである。その一例としては、ラジオ高崎で農と食の番組を実現したことがあげられる。

高崎市ミニFM放送局が立ち上がるというニュースを新聞で見た私は、そこで募集していたボランティアスタッフに申し込みをすると同時に、自分で企画する番組の構想をワープロでまとめて準備室に持ち込んだ。話はトントン拍子で進み、開局と同時に、私が企画・制作・運営をしたラジオ番組「じゃがいも家族」がスタートした。週一回、約1時間の番組を3年間続けたのである。

ところで、そのころ一太郎は毎年のようにバージョンアップをしていたと記憶している。CanBeにインストールされていたのがVer6.3であるが、CanBeを買ったのが発売から時間がたっていたこともあり、すぐにバージョンアップのお知らせが届いた。最初は訳分からず、いわれるまま「お得な」バージョンアップを続けていたが、複雑な機能を使っていたわけでもないのでVer8を購入してからはバージョンアップはやめた。お得といってもその都度費用がかかっていた。そして払った金額だけ便利になったのかということはあまり実感できなかったわけである。

今になって知ったのだが、一太郎の変遷は、上記のリンクに書いてあるように紆余曲折あったようだ。そして、CanBeを使っている私にも、スペックの容量不足という問題が突きつけられる結果となった。一太郎のバージョンアップなどで850MBのHDDはすぐに一杯になり、外付けのHDDを買うことになったのだ。2GのHDDが当時の価格で2万5千円位だったと思う。それを導入して一太郎のプログラム(一部を除く)を外付けのHDDにインストールするなどやりくりしていたのである。