私のPC履歴1 NEC・PC−9821CanBe 「生まれて初めて買ったパソコン」

1996年春、石川の農場から一人群馬に帰ってきた。祖母の家の一室に居候して、養鶏と田畑を始めた。そのかたわら、ネットワーク(人脈)作りのため様々な活動をしていった。

そこで、文書作成のための道具が必要になった。元々会社ではPC98で一太郎を使っていた。石川にいたときはキャノンのDTPを使っていた。会社時代は、私用の文書も会社のPCで済ますことがあったが、それ以外は父親の払い下げのワープロ専用機を使っていた。キャノワードではなかったろうか。液晶(白黒)のディスプレーは3〜4行くらいしか表示できなかったが、印字機能がついているのでプリンタは必要なかった。

96年は、前年にwindows95が発売になり話題になっていた年である。今になってみれば、その当時がインターネット時代の幕開けだったのだろう。私は文書作成の道具として、ワープロ専用機を買うかパソコンを買うか迷った。どうもインターネットというものがこれから有用になってくるだろう、ということは実感していたが、パソコンの必要性はそれほど感じていなかった。

当時ワープロ専用機にインターネット接続機能がついている機種があったのだ。高崎市あたりにもNECショールームがあり、そこで実物を見て説明を受けたりした。(それにしてもこの10年で、メーカーのショールームや修理窓口など、地方から一切なくなってしまった)

当時まわりでPCを持っている人はいなかった。また、会社にいたときもPCは専らワープロとして使っており、あとは表計算ロータスとか)だったし、プレゼンを専門にする営業部隊は確かゼロックスワークステーションを使っていた。私は「花子」だった。私の目的も文書作成つまり「ワープロ」として使うことが主なので、ネット機能付きのワープロ専用機には心が動いた。

ところがちょうどそのころ、友人がPCを買ったというので、早速見せてもらうことにした。「子供がいじるから」ということで押入の中に格納されていたそのPCは、私がイメージしていたものとはだいぶ違う代物だった。

本体とディスプレーが一体となったそのPCには、デスクトップ(壁紙)に友人の子供達の写真が表示されていた。そしてインターネットだけでなく、音楽CDも聞け、FAXも送受信でき、テレビも見れるものだった。それがNEC・PC9821CanBeという製品だった。

「これに決めた」
瞬間で判断した私は、友人の奥さんが用意してくれた夕食を断り、その足で電気屋へ向かったのであった。