今後の世界経済と日本の戦略の脆弱性

担保になる資産を無視して札を刷り続けると、通貨の価値が暴落するということが単純な論理として成り立つことは、経済に興味のある人なら分かることだと思います。通貨の価値が暴落するということは、ハイパーインフレが起こるということです。その分かりやすい事例としては、第一次世界大戦後のドイツと、第二次世界大戦中・大戦後の日本があげられます。

第一次世界大戦に敗北したドイツは、その戦後補償として、「ドイツが泣くまでレモンの種を絞れ」と膨大な賠償金を請求されました。それに対してドイツは、単に紙幣を刷りまくって返済をしたところ、ドイツ国内にハイパーインフレが起こり経済が破綻。その結果第二次世界大戦につながるナチスドイツが生まれたとされています。

日本では、第二次世界大戦中に、戦費調達のために戦時債を発行しましたが、敗戦により償還が困難となり、戦時債は紙くず同然となってハイパーインフレが起こりました。政府はそれを収束させるために、預金封鎖を行ないました。

このような観点で今後の世界経済を考えたとき、今はどのような状況にあるのでしょうか。その前に、私は経済について詳しくはないので、信頼できる人やサイトの情報を読んでいるだけだということを断っておきます。ですから、私の意見として今後の世界経済を語ることはできません。その上で「こういう論点がある」という問題提起をすることで、世界そして近未来の経済について考えるきっかけを作ってみたいと思います。

副島隆彦氏は、「やがてアメリカ発の世界恐慌が襲いくる」という著書を著しているとおり、ドルが暴落しアメリカ経済が破綻するということをここ数年訴えています。長期的な世界経済の指標としては、コンドラチェフの波などに代表される「経済周期論」があります。世界経済は周期的に好不況を繰り返す中で、周期に法則を見いだすという考え方です。それに照らしても、今や世界は次の不況の波に突入する段階にあるということですが、それは間接論になります。

直接的な原因として副島氏があげているのは、アメリカがドルや国債を刷りまくっているという情報をひとつの根拠にしているようです。日本でも同じように円を刷りまくっているようで、円もやがて紙くず同然になるという論理展開をしています。

日本で新札が刷られたことは、円暴落後の預金封鎖の準備であるということが、副島氏の「預金封鎖」という2冊のシリーズ本に書かれています。実際今、日本の金融機関では、これまで行われていた匿名口座の開設が一切できないようになりました。これは、各個人の資産を政府が把握するための処置であり、それを行政と連動させるのが住基ネットの導入であるということです。

預金封鎖―国はタンス預金を狙っている (祥伝社黄金文庫)

預金封鎖―国はタンス預金を狙っている (祥伝社黄金文庫)

仮にこういう状況が進行している中で、果たしてアメリカは、というかアメリカの資産の多くを所有し、戦争を含めた世界経済を支配しているユダヤ人資本家たちは、どういう戦略を描いているのか、というのが論点になってきます。また、副島氏が予測するようなアメリカ発の世界恐慌が起こった後の世界はどう動いていくのか、日本にとっても重大なことです。

これについてWORLD REPORTというサイトhttp://www.collectors-japan.com/nevada/では、世界恐慌に対するアメリカの戦略を次のように解説しています。

  • 世界恐慌が起これば、アメリカの一般人も破産して路頭に迷う。しかし、資産家は悠然と嵐が過ぎ去るのを待つのみ。
  • 世界の混乱ののち、唯一立ち上がることのできるのはアメリカである。
  • なぜなら、アメリカには原油も食糧も自前でまかなえ、輸入に頼らなくてもやっていける体力がある。
  • アメリカは今までのドルのばらまき政策を大きく変更し始めている。

このように、自国である程度まかなえるエネルギーと食糧に担保されたアメリカは、混乱後の世界の中で立ち上がる可能性があるわけですが、日本はどうすればいいのでしょうか。軍備を増強して石油と食糧を海外に取りに行くのか。しかし石油と食糧がなければ軍隊も絵に描いた餅です。

私がここ十数年かけて実践してきたことはまさにこのことであるのですが、日本人でそこに気付いている人はほとんどいない状況です。世界の状況を知ること、日本の現状を知ること、その上で日本としての戦略を立て実行に移すことが必要なのですが、世界基準や属国の現実を客観的に把握できないのがこの国の現状です。勇ましく愛国精神を奮い立たせるだけでもダメだし、自虐的に哀願しても解決できることではないのですが・・・。