水不足と下水道

空梅雨で、全国的に水不足が深刻化する中、こちらでは昨日と今日にかけて、ややまとまった降雨があり、ほっとしているところです。

しかし、鏑川の水位は以前より確実に少なくなってきており、渇水の危険は常に隣り合わせにあります。
水が少なくなった理由は、いくつかあるようですが、大きなものとしては、住宅の増加と近代生活が上げられます。

まず人口の増加、つまり家(所帯)の増加により、当然水道の使用が増えます。
また、一所帯の構成人員の減少、つまり核家族化によって、人口が増えなくても世帯の数が増えるので、一人当たりの水の消費量が増加します。
さらに、人間の清潔度が上がるにつれて、風呂やシャワーの回数が増え、水の消費量は増加していきます。

たとえば、戦前の平均的な田舎の人の暮らしはどうだったかというと、数日に一度沸かした風呂に、一族が(一世帯ではなく、近隣の本家新宅などの親戚一族です)呼ばれて、順番に入ったそうです。最後の方になると、水面にアカが浮いており、今考えると不潔であったといいますが、そのように沸かす回数も、水の使用量も、今よりもずっと少なかったわけです。

洗濯にしても、板で洗っていた時代から、2層式の洗濯機、全自動洗濯機と進化するにつれて、水の使用量が多くなっていきます。
さらに水洗トイレの普及によって、くみ取り式時代には全く使わなかった水が、一回のトイレ使用で10㍑も使うのですから馬鹿になりません。

さらに自動車の洗車や、植木の水やり、食器洗い器の普及など、文化生活が進めば、それに比例して水の使用量が増加していくのがわかると思います。

しかし、よく考えてみると、水の使用量が増えたとしても、ほとんどの水は使った後に流しておりますので、これを川に戻せば、川の水が減るということはないはずです。
水が汚れることはあっても、減ることにはつながりません。
川の水が減っているのは、使用した水を川に戻さないで、下水処理場に送ってしまうということに大きな原因があるのです。

<つづく>