基本のxyz軸

我々が学問(知ること)を行う際、基本となる「軸」というものを常に意識することが重要だと思います。

小林よしのりさんは、「ゴーマニズム宣言」の中で、「社会もしくは世間という横軸」と、「歴史・未来という縦軸」について論じていました。
我々が生きている現代社会、特に日本のような、世界の中でも物質や文明的に恵まれている社会は、今突然現出したわけではなく、歴史の積み重ね・先人の努力の結果享受できるものであり、過去から受け継いだものは、未来の子どもたちに継続する責任があるということです。
歴史や慣習を分断した人工国家の横暴や矛盾に対して、縦軸の重要性を強調した考え方であり、いわゆる保守思想として賛同します。

一方、養老孟司さんは、著書「バカなおとなにならない脳」の中で、人間関係に悩む若者の質問に対して、「人間関係だけの世間ばかりでなく、昆虫や動物と関わる自然とのふれあいも大事にしなさい」と回答してます。

私は、都会のサラリーマン生活をやめて、石川県の山奥や吉井町という田舎で生活する中で、自然から教わる事の重要性を常々感じています。
それは、言葉や文字や映像などの人間社会だけのコミュニケーションツール以外に、動物としての感性というものが、豊かな人間性の形成に必要であるということです。
単純な言い方をすれば、人間の科学で克服できない自然の偉大さを知る、ということになりますが、それは天変地異や異常気象などの重大な現象だけでなく、日常の自然との関わりの中にも十分に存在していることです。

現代の若者は、自然が残っている田舎に暮らしていても、自然とふれあうより家の中でゲームをしていることの方が多くなっています。都会にいる子どもはなおさらでしょう。
それに加え、60年前の敗戦を期に行われた、日本人としての歴史の分断(いわゆる自虐史観)が、希望を持てる未来の国のあり方を阻害していると思います。

歴史に関しては、何が何でも優秀な民族であるということでもいけないと思います。偏らない大きな枠組みで人類史を見る視点が必要だと思います。
自然から学ぶということに関しても、単に短期の農業体験をすればいいというものではありません。やらないよりやった方がいいでしょうが、それ以上のものではありません。

歴史に関しては、優れた言論人・知識人の解釈を集めて、紹介し、議論していきたいと思います。
自然に学ぶことについては、別途方法論を提示していきます。

いずれにしても、学問を行うに当たっては、

  1. 社会(世間)軸
  2. 時間(歴史・未来)軸
  3. 自然軸

このxyzの3次元のバランスが必要であるということを前提として提示しておきたいと思います。